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環境に優しいグリーン製品は必ずしも環境に無害ではない

洗濯用洗剤は検証された製品の中で最も毒性の高いものの一つでした。

文:Sarah DeWeerdt
2022年9月13日

多くの人は、「グリーン」とマークされ販売されている家庭用洗剤やパーソナルケア製品は、従来のブランドよりも環境への影響が少なく、これらの製品は素早く簡単に分解され無害なものになると思っています。

しかし実際はどうなのかということについてあまり研究されていません。企業秘密により、製品のレシピは開示される必要がなく、「環境にやさしい」という主張が独自に検証されることはほとんどありません。

実際、新しい研究で環境に優しい製品の中には、従来の同等品と同等かそれ以上の毒性を持つものがあることがわかりました。また環境中に放出された場合、毒性が増す可能性があることもわかりました。

研究者らは、水生毒物学(aquatic toxicology)の実験によく使われる甲殻類であるガラスエビとミジンコの幼生をさまざまな家庭用品に暴露しました。水生生物に注目したのは、家庭用品は排水や下水によって水生環境に入るのが一般的であり、家庭用品によく含まれる化学物質の中には水生生物に有害であることが知られているものがあるからです。

研究では、洗濯用洗剤、食器用洗剤、マウスウォッシュ、殺虫剤、食洗機用洗剤ジェル、オールパーパスクリーナーの6つのカテゴリーにおいて、それぞれ従来製品2種類と「グリーン」だとされる代替品1種類を検証しました。これらの製品はすべて米国サウスカロライナ州チャールストンの食料品店で購入されたもので、米国で広く消費者に提供されているものです。

そしてその結果、環境に優しいグリーン製品も従来の製品も、ガラスエビとミジンコに対して有毒であると研究者らが学術誌Environmental Toxicology and Chemistryに報告しました。

実際「グリーン」な食洗機用洗剤は、2種類の従来製品よりもガラスエビとミジンコの両方に対して毒性が高かったことがわかりました。一方、 いくつかの製品カテゴリーでは結果はより複雑でした。グリーンなマウスウォッシュは、ガラスエビに対して一種類の従来製品より高い毒性を示し、もう一種類の従来製品より弱い毒性を示しました。その一方で、ミジンコに対しては、このカテゴリーの3製品の中で圧倒的に毒性が高くなっていました。グリーンな食器用洗剤は、ガラスエビに対して一種類の従来製品より強い毒性を示し、もう一種類の従来製品より弱い毒性を示した一方、ミジンコに対する毒性は3製品の中で最も毒性が低くなっていました。グリーンな洗濯用洗剤は、一種類の従来製品よりもガラスエビ、ミジンコの両方に対してより毒性があったものの、もう一種類の従来製品と同程度の毒性を示しました。グリーンな殺虫剤だけが、ガラスエビとミジンコの両方に対して従来製品よりも毒性が低くなっていました。

「他の製品カテゴリーと比較して、洗濯用洗剤は最も毒性の高いものの一つであった」と研究者は報告しています。これは従来の洗濯用洗剤に含まれているものよりも毒性の高いことが知られている界面活性剤(市販の洗剤のかなりの部分を占める化学物質の一種)が含まれているためではないかと、研究者は指摘しています。

さらに、バクテリアによって分解された製品をガラスエビに暴露し、また光によって分解された製品をミジンコに暴露しました。ここでもまた、グリーンな製品は確実に無害な形態に分解されないことがわかりました。場合によっては、生分解や光分解によってグリーンな製品に元々あった毒性よりも高い毒性が付加されることもありました。

例えば洗濯用洗剤の場合、生分解後のグリーンな洗濯用洗剤はガラスエビへの毒性が1.5倍になったのに対し、従来製品は2.3倍と5.4倍毒性が低くなっていました。また光分解後のミジンコに対する毒性は,従来品で 2.4 倍と 1.4 倍毒性が減少しましたが,グリーンな洗濯用洗剤の毒性は変化しませんでした。

全体として、どのグリーンな製品も生分解後に毒性が減少しなかった一方、従来製品では半数近くで毒性が減少していました。光分解により毒性が低下したのは、グリーンな製品の3分の1のみで、従来製品のほとんどは毒性が低下していました。

研究者らは、「グリーンな製品は、分解処理の前後で必ずしも毒性が低くなるとは限らない」と結論付けています。この結果は「グリーン」製品として販売されている製品について、その毒性と分解性の両面から、よりしっかりとした評価を行う必要性を強調していると研究者らは述べています。

出典: Gray A.D. et al.  “Are green household consumer products less toxic than conventional products? An assessment involving grass shrimp (Palaemon pugio) and Daphnia magna.” Environmental Toxicology and Chemistry 2022.