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食品科学者がビールの廃棄物を食品や燃料にリサイクルする方法を考案

使用済み穀物に含まれるタンパク質と繊維を抽出することで、ビールは飲むだけでなく食べることもできると研究が示す。

文:Prachi Patel

2021年4月15日

(Click here for the original English version)

ビールを醸造すると大量の使用済み穀物が発生します。クラフトビールメーカーやホームブルワー(自宅醸造家)の中には、この醸造粕をパンやクラッカー、犬用ビスケットなどに加工しているところもあります。しかし世界中で生産される何トンもの醸造粕のほとんどは、家畜の飼料になったり、埋め立て地に行き着いたりしています。

バージニア工科大学の食品科学者たちは、この廃棄物を有効活用する効率的な方法を発見しました。ビールの廃棄物からタンパク質と繊維を抽出することで、バイオ燃料や新しいタイプの食品用タンパク源を作ることができたのです。この研究は先週開催されたアメリカ化学会(American Chemical Society)の春季大会で報告されました。

ビールの醸造過程で発生する副産物の約85%は醸造粕です。大麦、小麦、ライ麦などのビール醸造用穀物から糖分を搾り取った後に残る湿った粕には約70%の繊維と14〜30%のタンパク質が含まれています。世界中のビール工場では年間約4,000万トンもの副産物が生産されています。安価な栄養源ともなりますが、繊維が多いため、人間にとっては消化しにくいものになっています。

Haibo Huang氏とYanhong He氏は、この廃棄物からタンパク質を抽出するために新しい湿式粉砕法を考案しました。ビールの廃棄物を再生可能燃料に変える方法は過去にも開発されていますが、今回の技術は最初に穀物を乾燥させる必要がないため、より効率的です。

研究者たちは地元の醸造所から醸造粕を入手し、まず市販されているアルカラーゼという酵素を含む水に穀物を浸します。アルカラーゼは穀物を分解して、その成分を分離しやすくします。穀物を粉砕した後は、ふるいにかけて濃縮された液体タンパク質と繊維質を分離します。

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この濃縮液には醸造粕に含まれるタンパク質の83%が含まれており、低コストで持続可能な代替タンパク質として加工食品に活用できる可能性があります。カリフォルニアに拠点を置くスタートアップ企業のひとつ、ReGrained社は、この副産物を栄養バーやスナックに使える食品グレードのタンパク質に変換する「サーモメカニカル(熱機械)」プロセス(特許取得済み)を考案しました。

一方、残った繊維はバイオ燃料の原料として利用することができます。研究者たちは、繊維を硫酸で処理して糖分に分解し、その糖分をイエローストーン国立公園の泉で最近発見された新種のバクテリアに与えます。そしてそのバクテリアが、糖分をゴムや燃料の原料となる化合物に変換するのです。

プレスリリースによると、研究チームは現在この技術を産業用にスケールアップしようとしています。またアルカラーゼは高価なため、より安価な酵素を探しているということです。

出典: Separating beer waste into proteins for foods, and fiber for biofuels, ACS Spring 2021 virtual meeting.