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食品のカーボンラベル表示が人々の行動を変えるー積極的に情報を避けようとしている人でさえも

食品の二酸化炭素排出量を知らないままでいることはできないと研究が示唆。

文:Sarah DeWeerdt

2021年4月6日

(Click here for the original English version)

スウェーデンで実施された仮想的な商品購入に関する研究によると、カーボンフットプリントラベルによって、人々は気候変動への影響が25%少ない肉製品を選ぶようになることがわかりました。この研究は、食料品店でのカーボンラベル表示という新たな戦略を後押しするものですが、同時に食品の環境負荷について考えたくない人にも届くようにするには、このようなラベルを慎重にデザインする必要があることを示唆しています。

世界のフードシステムは温室効果ガス排出量の少なくとも4分の1を排出しており、特に肉類は多くの二酸化炭素を排出しています。消費者は食品の気候変動への影響についてあまり知らないため、情報を提供することで気候変動に配慮した選択をするようになるのではないかと考えられています。

しかし、食品の購入に限らず、人々は不快な情報を避けているという証拠もあります。例えばクッキーのカロリーや、大量生産された食肉の動物の健康や福利の問題などを知る機会があっても、人はそういう情報を避けることがあります。つまり、自分の信念に反するような情報や、自分の選択に何らかの悪影響を与えると思われる情報を避けているのかもしれません。

そこで、コペンハーゲン大学とスウェーデン農業科学大学の研究者たちは、スウェーデンに住む803名を対象にオンラインアンケートを実施し、この傾向が食品のカーボンラベリングの導入にどのように影響するかを調べました。

まず、回答者に6種類のタンパク質のひき肉製品(牛ひき肉、牛と豚、豚、鶏、牛と豆、代用肉)の中から購入するものを選んでもらいました。次に、その製品の気候変動への影響についての情報を希望するかどうかを尋ねました。

最後に、もう一度選択してもらいましたが、その時は希望の有無にかかわらず、カーボンフットプリントの情報が含まれた商品をリストアップしました。また本調査には、回答者の気候変動や肉食に関する意識についても様々な質問が含まれました。

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研究者らは学術誌「Food Policy」で、本調査の回答者の3分の1が販売されている商品の気候変動への影響に関する情報を求めていないと回答したと報告しています。

しかし、商品のカーボンフットプリントに関する情報を求めた人も、それを断った人も、情報を見た後に購入の意思決定を変えていることがわかりました。多くの二酸化炭素を排出する牛肉や豚肉を選ぶ人が減り、代用肉を選ぶ人が増えたのです。

このことは、カーボンフットプリントの情報を断った人の中には、どちらかといえば気にしていないというよりも、積極的にそのような情報を避けようとしている人がいることが考えられると研究者が指摘しています。全体として、参加者の選択による気候変動への影響は、第1ラウンドに比べて第2ラウンドでは25%減少していました。また、商品の気候変動への影響を知りたいと希望した人は排出量を32%削減し、気候変動への影響の情報を望まなかった人でも12%の減少となっていました。

今回の調査結果は、食品にカーボンラベルをつけることで、情報を求めていない人や、積極的に情報を避けようとしている人の行動を変える可能性があることを示唆しています。しかし、そのためにはラベルを慎重にデザインする必要があります。例えば、情報をシンプルに表示し、パッケージ前面の見逃せない場所に表示することが必要です。研究者たちは「もしラベルが見逃しにくい場所にあれば、その効果はかなり大きくなるだろう」と指摘しています。

出典: Edenbrandt A.K. et al. “Interested, indifferent or active information avoiders of carbon labels: Cognitive dissonance and ascription of responsibility as motivating factors.” Food Policy 2021.